自分の言葉に命を吹き込む方法。パトスについて考える。

質の良い記事には、エトス、パトス、ロゴスが必要だ、という話の続きです。

 

今回はパトスについてもう少し掘り下げます。パトスとは「感情」「情熱」です。

 

15時間ぐらい前に届いた、風花さんのメルマガ、「初芽アドバイス8」には、商品が売れないと嘆く人へのアドバイスがのっていました。

 

風花さんによれば商品が売れないのは、「言葉に力がないからです。人は言葉に動かされて、財布のヒモをゆるめるのです」とのこと。

 

記事にパトスがあれば、人は動きます。

 

 

エトス、パトス、ロゴスのおさらい

 

ブロガー筆子の解釈は、

 

エトス:自分なりの哲学
パトス:語っていることに対する情熱
ロゴス:論理的な語り

です。

 

最初の記事に「ブロガーには情熱が必要だ」と書きました。ではなぜ情熱が必要なのでしょうか?

 

自分にパッションがなければ、読者の感情を揺り動かすことができないからです。

 

もちろん、中には言葉の魔術師みたいな人(天才的なコピーライター)がいて、本人は特にパッションを感じていないのに、うまく人心を操る人もいます。

 

ですが、多くの人は、私と同じ、ごくふつうのブロガーだと思います。

 

よって、自分が好きな商品の紹介には力が入るだろうし、好きでもない商品の紹介は、とってつけたようになるでしょう。

 

収益だけを目当てに紹介する商品のレビュー記事にはまずパトスがやどりません。

 

ところが、自分が好きな商品のことや、自分の興味のあることを書いているはずなのに、パトスのない人がいます。

 

言葉に力がないのです。

 

なぜでしょうか?

 

風花さんは、「言葉と文章を大事にしていないから」と言っています。

 

それもあるかもしれません。ですが、私は別の考えを持っています。言葉に力がない人は、ふだん自分の感情についてあまりに無関心なのです。

 

 

感情に意識を向けるススメ

 

人間は感情の動物だと言われます。

 

人の気持ちを一言で表すのは難しいのですが、今自分がどんな感情なのか考えて、それぞれを言語化できるようにすると、記事にパトスが生まれるのではないでしょうか?

 

古来から、さまざまな専門家が人間の感情をカテゴリーに分けてきました。

 

アリストテレスも「弁論術」で以下のような感情をあげています。7セットあります。

 

怒り – 穏やかな気持

友愛 – 敵対心

恐れ – 自信(大胆な気持ち)

恥 – 恥知らずな気持ち

親切 – 不親切

哀れみ – 義憤(いきどおり)

妬み – 競争心(張り合う気持ち)

 

その後の感情の研究で特に有名なのは、アメリカの心理学者のロバート・プラッチク(Robert Plutchik)の「感情の輪」です。

 

彼は、人間には8つの基本的な感情があると言いました。

 

喜び、信頼、恐れ、驚き、哀しみ、期待、怒り、嫌悪感です。

 

それぞれの感情はポジティブな感情とネガティブな感情のどちらかに分けられ、基本的な感情もあれば、それぞれが重なって複雑な感情になることもあります。

 

また感情には弱い、強いといった程度があります。

 

これはひじょうにざっくりとした説明ですが、まあこんなことを言ったわけです。

 

人の感情を言葉で表すことは難しいし、それはくるくると変わっています。ですがこのように感情について考えてみることが重要だと思います。

 

説得力のある記事を書くためいは、自分の記事を読むことで、読者にどんな感情になってもらいたいか、どんな行動を起こしてもらいたいか、最初に考えることが有効だからです。

 

風花塾の塾生さんや、初芽の購入者さんは、よく「読者にほっこりしてもらえる、くすっと笑ってもらえる、そんな記事を書きたい」と言います。

 

たぶん自分がそういう記事を読みたいのでしょう。

 

風花スタイルを実践する人は、いけいけのあおるタイプのアフィリエイターを嫌っている人が多いですから。

 

では、ほっこりってどんな感情なんでしょう?

 

くすっと笑うとき人は何を感じているのでしょう?

 

そこを自分でわかっていないと、読者に「ほっこり」や「くすっ」を共有してもらうのは難しいのではないでしょうか?

 

パトスを生むためには、

 

●感情にはいろいろな種類があるということに意識をむける

 

●どんな感情を自分の記事に盛り込むか考える

 

●どうしたらそういう感情を読者に持ってもらえるか考える

 

この3つのどれか、またはすべてをやる必要があると思います。

 

アリストテレスのすすめたパトスの作り方

 

「弁論術」でアリストテレスはパトスを持つためには、「例証」「説得推論」「格言」を使うとよい、と書いています(実際にはもっといろいろ細かく書いており、これはすごく簡単な説明です。興味のある人は本を読んでください)。

 

格言はともかく、例証と説得推論って何だよ、と思ってしまいますよね。

 

例証は例を使うことです。過去にあったお話(歴史的事実)を用います。

 

たとえば、ワシントンはうっかり桜の木を斧で切ってしまいました。でも彼はそのことを正直にお父さんに告げました。するとお父さんは、「おまえは正直で偉い」とワシントンをほめました。

 

正直者のワシントンは大統領になりました。

 

だから、人間、どんなときも正直でいることが一番なんです、といった説得の方法です。

 

例証は帰納(きのう)とも言えます。過去にこんなことがあったから、今度もこんなふうになるでしょう、と説明します。

 

説得推論は演繹(えんえき)です。

 

演繹は、AならB, BならC、だからAならCと結論を出すことです。

 

たとえば、砂糖は身体に悪い。キャラメルには砂糖がいっぱい入っている、だからキャラメルは身体に悪いと話を進めます。

 

アリストテレスは、聞き手の心の状態や性格を考えたうえで、どんな説得方法を用いるか決めろ、と書いています。

 

物販アフィリエイトをやりたい人も、読者の感情を想像しながら、適切な話の進め方をするべきなのです。

 

マーケティングでは、「神話の法則」とか「物語を使え」とよく言われます。ストーリーを使うと、お客さんが感情移入しやすいからです。

 

感情移入するとは、要するに感情が動くことです。そこで財布のヒモがゆるむのです。

 

fudeline

 

きょうの夕方、ばたばたと家事をしていたら、突然スマホに電話がかかってきました。

 

私のスマホはめったに鳴りません。

 

知らない番号でしたが、電話に出たら、学校でいじめられる子どもたちのためのなんとかに寄付をしませんか、というような話でした。

 

しかし、こんなふうに突然電話をかけられても、全く感情を動かされないのです。

 

「いじめの問題はひじょうに深刻です」と相手は言ってましたが、私は、「インターネットで調べてから検討します」と言って、電話を切ってしまいました。

 

これがもし、誰かが学校でいじめられている物語を聞かされたら、また別の反応をしたと思います。

 

まあ、電話でいきなりそんなこと言われても、私はまず心を動かされませんが。

 

こんなふうに、自分の心がいつ動いたか、動かなかったのか、日常生活で注意をしながら暮らしていると、相手の感情に訴える記事を書けるようになっていくと思います。

 

唐突に、「このシャンプー、お気に入りです」と書いたところで、相手はなんとも思わないのです。